2019/09/24~09/27
L:松下 M:山口、古賀、吉田
芦別奥地にて3日ほど山に籠り、竪穴洞窟の調査をしてまいりました。
活動の様子については動画を作成したのでそちらを参照してください。
→https://www.youtube.com/watch?v=WJe9ivr4la0
ここでは今回測量した洞窟の北海道における特異性を紹介したいと思う。
・洞窟いろいろ
一口に洞窟といっても様々な種類がある。
例えば、海波の削る力で作られた海蝕型洞窟。
例えば、落盤などで形成された崩落型洞窟。
いろいろあるけど一番有名なのは鍾乳洞だと思う。
水に溶解する石灰岩が雨水、地下水などに長年曝されることによって形成される。石灰岩中の石灰成分が溶け出して形成されるつらら石などが特徴的だ。
そして北海道で最も長い洞窟も鍾乳洞である。見つけたのは我々北大探検部で、「北海洞」と名付けた。
しかし最も長いと言ってもその規模は日本一の洞窟と比べるととても小さい。
現存で見つかっている北海道の洞窟がどれも小規模である原因は、北海道の寒冷な気候や、石灰岩の規模や量、様々なものが考えられるが、その一つには「単純に見つかってない」というものがある。
例えば日本最大の岩手:安家洞は地元の人々の間では古くから親しまれていたもので、初の探検的調査ですら1951年まで遡るらしい。対し北海道最大の北海洞は発見が2006年。まだ発見されて間もない洞窟だ。
さらに北海道の広大な敷地に対して観光地化する規模の洞窟は当麻鍾乳洞、中頓別鍾乳洞の二つくらいだろうか。
そして北大探検部でも毎年のペースで新洞窟を発見している。北海道という土地の性質上、「北海道で最も○○な洞窟」という、お得な称号を得やすい。
・今回の「北海道1○○」
既知洞窟の数の少なさから比較的楽に「北海道で一番」の称号をgetできる洞窟界隈。
今回我々が芦別奥地で測量調査を行った洞窟にもそれは言えるかもしれない。それは「北海道で最も深い竪穴」という称号だ。
竪穴とは何ぞや。そのまま竪(縦方向)の穴(洞窟)ということだ。
次の図は北海洞を横から見た展開図である。
古い図なので現在はもう少し長い
見てのとおり横のスケールに足して縦のスケールが小さいことが分かる。最も高低差のあるところで15mあるだろうか。
前述のとおり鍾乳洞は石灰岩が水によって溶かされて形成される。鍾乳洞が横に長いのはかつて地下水、もしくは河川がこの高さにあったことを示している。水の流れる高さで鍾乳洞は横方向にのびていく。
逆に縦方向のスケールが大きい洞窟も存在して、それらを俗称で「竪穴」とよばれる。
上の写真は北海道某所にて北大探検部が外部のクライマーの方とともに調査した竪穴洞窟である。横方向への伸びはせいぜい50mほどだが、対して写真のように縦方向に顕著に伸びる空間(ホールと呼ぶ)も存在する。天井部分にはライトの光も届かないので登攀をする必要があった。この写真で登攀している方はクライミングの達人なので真似はしないでください。
さて、縦方向に顕著な伸びを見せる竪穴洞窟だが、実は北海道ではほとんど見つかっていない。そして今回奥芦別にて測量調査した洞窟も竪穴洞窟の一つである。
今回の洞窟は入り口からまっすぐ下方向に伸びていた。ロープがあれば器具を用いて上り下りすることができるのだが、4年前の発見時は探検部にその技術がなかったため、4年越しの測量調査となった。
調査の結果だが、この竪穴洞窟高低差20mほどと考えられていたのだが、人がギリ通れないくらいの穴の向こうにさらに奥があることが分かった。その部分の測量も完了すれば全体で高低差40m以上になる見通しであり、これは「北海道で1番深い竪穴」ということになる。
今回得られたデータから測量図を完成させれば論文を書くことができ、ケイビングジャーナルなる知る人ぞ知る専門学術誌に投稿、アクセプトされれば、晴れてこの洞窟の存在を世に知らしめるとともに命名する権利を得ることができる。
一見では調べつくされ、切り分けられ、名付けられ終えたかに見える日本の地にも、まだこういった未踏の地は存在していて、そういった所に名前をつけるチャンスもまだあるらしい。
そういったことにわくわくする人は北大探検部と連絡を取ってみましょう。
現在新歓中です。学生以外も募集してます。↓
https://twitter.com/hokudai_tanken
L:松下 M:山口、古賀、吉田
芦別奥地にて3日ほど山に籠り、竪穴洞窟の調査をしてまいりました。
活動の様子については動画を作成したのでそちらを参照してください。
→https://www.youtube.com/watch?v=WJe9ivr4la0
ここでは今回測量した洞窟の北海道における特異性を紹介したいと思う。
・洞窟いろいろ
一口に洞窟といっても様々な種類がある。
例えば、海波の削る力で作られた海蝕型洞窟。
登別某所のアフンルパロ洞窟
ある男が死に別れた女房と再会したという伝説が残る
ある男が死に別れた女房と再会したという伝説が残る
伊達某所の百畳式洞窟
氷の柱:氷筍(通称にょろにょろ)で埋め尽くされている
いろいろあるけど一番有名なのは鍾乳洞だと思う。
島牧某所の鍾乳洞
かつて観音菩薩が祭られていた
そして北海道で最も長い洞窟も鍾乳洞である。見つけたのは我々北大探検部で、「北海洞」と名付けた。
北斗某所の北海洞
中は泥んこ
沖縄の鍾乳洞
鍾乳洞と言えば沖縄のガマが有名だろうか
鍾乳洞と言えば沖縄のガマが有名だろうか
サンゴ礁=石灰岩でできている島なのでその数も多い
例えば日本最大の岩手:安家洞は地元の人々の間では古くから親しまれていたもので、初の探検的調査ですら1951年まで遡るらしい。対し北海道最大の北海洞は発見が2006年。まだ発見されて間もない洞窟だ。
2006年9月の北海道新聞より
そして北大探検部でも毎年のペースで新洞窟を発見している。北海道という土地の性質上、「北海道で最も○○な洞窟」という、お得な称号を得やすい。
・今回の「北海道1○○」
既知洞窟の数の少なさから比較的楽に「北海道で一番」の称号をgetできる洞窟界隈。
今回我々が芦別奥地で測量調査を行った洞窟にもそれは言えるかもしれない。それは「北海道で最も深い竪穴」という称号だ。
竪穴とは何ぞや。そのまま竪(縦方向)の穴(洞窟)ということだ。
次の図は北海洞を横から見た展開図である。
古い図なので現在はもう少し長い
見てのとおり横のスケールに足して縦のスケールが小さいことが分かる。最も高低差のあるところで15mあるだろうか。
前述のとおり鍾乳洞は石灰岩が水によって溶かされて形成される。鍾乳洞が横に長いのはかつて地下水、もしくは河川がこの高さにあったことを示している。水の流れる高さで鍾乳洞は横方向にのびていく。
逆に縦方向のスケールが大きい洞窟も存在して、それらを俗称で「竪穴」とよばれる。
上の写真は北海道某所にて北大探検部が外部のクライマーの方とともに調査した竪穴洞窟である。横方向への伸びはせいぜい50mほどだが、対して写真のように縦方向に顕著に伸びる空間(ホールと呼ぶ)も存在する。天井部分にはライトの光も届かないので登攀をする必要があった。この写真で登攀している方はクライミングの達人なので真似はしないでください。
さて、縦方向に顕著な伸びを見せる竪穴洞窟だが、実は北海道ではほとんど見つかっていない。そして今回奥芦別にて測量調査した洞窟も竪穴洞窟の一つである。
下からの図
今回の洞窟は入り口からまっすぐ下方向に伸びていた。ロープがあれば器具を用いて上り下りすることができるのだが、4年前の発見時は探検部にその技術がなかったため、4年越しの測量調査となった。
調査の結果だが、この竪穴洞窟高低差20mほどと考えられていたのだが、人がギリ通れないくらいの穴の向こうにさらに奥があることが分かった。その部分の測量も完了すれば全体で高低差40m以上になる見通しであり、これは「北海道で1番深い竪穴」ということになる。
今回得られたデータから測量図を完成させれば論文を書くことができ、ケイビングジャーナルなる知る人ぞ知る専門学術誌に投稿、アクセプトされれば、晴れてこの洞窟の存在を世に知らしめるとともに命名する権利を得ることができる。
一見では調べつくされ、切り分けられ、名付けられ終えたかに見える日本の地にも、まだこういった未踏の地は存在していて、そういった所に名前をつけるチャンスもまだあるらしい。
そういったことにわくわくする人は北大探検部と連絡を取ってみましょう。
現在新歓中です。学生以外も募集してます。↓
https://twitter.com/hokudai_tanken
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